『青青の時代』とは? 山岸凉子が描くもう一つの古代史ミステリー
『日出処の天子』や『舞姫 テレプシコーラ』で知られる漫画界の巨匠・山岸凉子が、古代日本・邪馬台国を舞台に描いた歴史ロマンです。教科書で習う「卑弥呼」と「壱与」の物語を、山岸凉子ならではの大胆な解釈と緻密な心理描写で再構築した意欲作。全4巻で完結しており、重厚なミステリーを一気に読み通せる点も特長です。
なお、同名のテレビドラマや三島由紀夫の小説とは全く異なる、完全オリジナルの漫画作品となります。
あらすじ:流れ着いた少女・壱与と権力者・卑弥呼の運命
舞台は古代日本、神の声を聴く巫女が統治する大和(邪馬台国)。 南の島から一人の少女・壱与(イヨ)が、過酷な運命に導かれるようにこの地へ流れ着きます。唯一の肉親である祖母の病を治したい一心で生きてきた彼女ですが、その身には国を揺るがすほどの「ある血」が流れていました。
一方、大和を支配するのは、絶対的なカリスマ性と超常的な力を持つ老巫女王・日女子(ヒミコ)。彼女は自らの権力を盤石にするため、あるいは老いへの恐怖から、冷酷な決断を下し続けています。何も知らずに大和の地へ足を踏み入れた壱与は、やがてヒミコを取り巻く権力闘争と陰謀の渦中へ巻き込まれていくことになります。
『青青の時代』の魅力:聖女か悪女か?
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生々しい権力闘争と心理戦 本作の「卑弥呼(ヒミコ)」は、聖女のような清廉潔白な存在ではありません。権力に固執し、老いに抗い、周囲を猜疑心で見つめる、極めて人間臭い「政治家」として描かれています。そんなヒミコの情念と、それに翻弄される人々の心理描写は圧巻。山岸作品特有の「怖さ」と「美しさ」が同居しています。
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『日出処の天子』ファンも唸る古代ロマン 聖徳太子を新たな視点で描いた名作『日出処の天子』と同様に、本作も史実や神話の隙間を埋めるミステリー要素が秀逸です。「なぜ卑弥呼の後に壱与が立ったのか?」「空白の期間に何があったのか?」という歴史の謎に対し、説得力のある解釈を提示しています。張り詰めた緊張感が全編を貫く作品です。
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全4巻完結という読みやすさ 古代史ものや歴史漫画というと長大なシリーズを想像しがちですが、本作は全4巻できれいに完結します。無駄なエピソードがなく、中だるみすることなく結末まで展開するため、週末などに映画を観るように濃密な物語体験を味わいたい方に最適です。
こんな人におすすめ
- 山岸凉子作品(『日出処の天子』『天人唐草』)のファン 登場人物の業や心理を深くえぐる描写、そして圧倒的な画力で描かれる古代の世界観は、山岸ファンなら満足できるクオリティです。
- 歴史ミステリーや日本神話が好きな人 「卑弥呼」や「邪馬台国」という馴染み深いテーマを扱いつつ、教科書とは違う角度から切り込んだストーリーは、歴史好きの知的好奇心を刺激します。
- 短期間で深い物語を摂取したい人 4巻完結というコンパクトさの中に、大河ドラマのような重厚さが凝縮されています。忙しい日常の中で、手軽に、しかし深く物語に没頭したい方におすすめです。