『バタアシ金魚』とは?望月峯太郎の伝説的デビュー作
『ドラゴンヘッド』や『鮫肌男と桃尻女』で知られる鬼才・望月峯太郎先生の原点にして、80年代青春漫画の金字塔とも言える作品です。1990年には映画化もされ、多くのファンを熱狂させました。
全6巻ですっきりと完結しており、今なお色褪せない圧倒的な熱量とスタイリッシュな感性が凝縮されています。著者の才気が爆発した、伝説的なデビュー作と言えるでしょう。
あらすじ:カナヅチの高校生・カオルが挑む「愛と水泳」の物語
「水泳は好きじゃないけど、ソノコ君のコト、ホントに愛してるから」
そんなあまりにも純粋、かつ不純(?)な動機だけで水泳部に入部した高校生・花井薫(カオル)。彼は水泳部員でありながら、泳げない「カナヅチ」でした。
ルールも無視、常識も通用しないカオルですが、想いを寄せるソノコへの情熱だけは誰よりも熱く、そして異常です。彼の強引すぎるアプローチは周囲を巻き込み、とんでもない騒動を次々と引き起こしていきます。
最初はカオルの破天荒な行動にドン引きしていたソノコも、その真っ直ぐすぎる情熱にペースを崩され……。爆笑必至のギャグと、切ない青春の瞬きが交差する、疾走感あふれるラブストーリーです。
なぜ『バタアシ金魚』は面白いのか?強烈すぎる3つの魅力
現代の常識を超越したカオルのキャラクター 主人公・カオルの行動力は、常軌を逸しています。ソノコへの執着心は、現代社会であれば即座に通報されかねないレベルかもしれません。しかし、カオルの場合、そこに陰湿さは微塵もありません。突き抜けたポジティブさと、一点の曇りもない真っ直ぐな想いが、彼を「愛すべきバカ」へと昇華させています。読んでいるうちに、その非常識な行動さえも応援したくなってしまう不思議な魅力があります。
望月峯太郎特有のスタイリッシュな画とセリフ回し 本作はデビュー作でありながら、望月峯太郎先生特有の鋭利なセンスがすでに完成されています。独特のセリフ回しが生み出すリズムと、画面から飛び出してきそうなスピード感は圧巻です。スタイリッシュな画作りと、高校生たちの泥臭くも熱い感情のぶつかり合いが見事に融合しており、80年代の作品でありながら古さを感じさせません。
ギャグの枠を超える後半の心理描写 前半はカオルの暴走によるドタバタギャグの側面が強いですが、物語が進むにつれて描かれる心理描写の深さも見逃せません。単なるコメディでは終わらず、不器用な二人の心が少しずつ、しかし確実に交錯していく様子が丁寧に描かれています。笑い飛ばしていたはずのカオルの行動が、いつしか胸を打つ切なさへと変わり、心に残るラストへと繋がっていきます。
『バタアシ金魚』はこんな人におすすめ!
- 望月峯太郎ファンの方 『ドラゴンヘッド』のようなシリアスな作品しか読んだことがない方にこそ、著者の原点である本作のパワフルなエネルギーに触れてみてほしい一作です。
- 強烈な主人公が見たい方 優等生的な主人公や、普通の青春漫画では物足りない方へ。一癖も二癖もあるカオルの生き様は、強烈なインパクトを残すはずです。
- 短期間で熱い物語を摂取したい方 全6巻という手頃なボリュームで完結しているため、週末の一気読みにも最適です。80年代漫画特有の熱い勢いを存分に楽しめます。