『僕らはみんな生きている』とは?山本直樹が描く企業戦士の極限サバイバル
原作・一色伸幸、作画・山本直樹という異色のタッグが放つ本作は、バブル経済絶頂期の日本企業を象徴する、骨太かつシニカルな社会派サバイバル漫画です。1993年には真田広之主演で映画化され、そのブラックユーモア溢れる世界観が大きな話題を呼びました。全4巻という手に取りやすいボリュームながら、企業戦士の悲哀と極限状態での人間ドラマが濃密に凝縮されており、読み応えは十分。現代のビジネスパーソンにこそ響く、隠れた名作として確固たる地位を築いています。
あらすじ:クーデター発生!異国の地「タルキスタン」で孤立したサラリーマンの運命
舞台はアジアの架空の発展途上国「タルキスタン」。日本の大手建設会社から派遣されたサラリーマン・高橋は、国家プロジェクトである橋の建設権を獲得するため、現地での接待や根回しに奔走していました。しかし、接待パーティーの最中に突如として軍事クーデターが発生。平和な宴は瞬く間に戦場へと変わります。
帰国手段を絶たれ、銃弾が飛び交う市街地に取り残された高橋。彼が命よりも大切に抱えていたのは、自分の身を守る武器ではなく、会社との「契約書」でした。ジャングルの奥地へと逃げ込む極限のサバイバル生活の中でも、日本的企業戦士の論理を振りかざし、契約遂行に執着するその姿は、あまりに滑稽で、そして痛いほど切実です。
『僕らはみんな生きている』が伝説的カルト作となった3つの魅力
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山本直樹×ビジネス漫画の異色な化学反応 『BLUE』や『ありがとう』などで知られる鬼才・山本直樹が、まさかの「商社マン」を描くという意外性が本作の最大のフックです。山本作品特有の冷徹で乾いた筆致と、どこか湿度を感じさせるエロティシズムが、企業間の熾烈な受注競争というドライなテーマと奇跡的に融合。汗と泥にまみれたサバイバル劇でありながら、どこか幻想的で退廃的な空気が漂う、唯一無二の読み味を生み出しています。
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謎のガイド・セーナの妖艶さとスパイ疑惑 高橋たちの逃避行を先導するのは、現地ガイドの女性・セーナ(漫画版は女性設定)。彼女の存在が物語にサスペンスと官能をもたらします。彼女は単なるガイドなのか、それとも各国の思惑の中で動くスパイなのか。極限状態の中で揺れ動く高橋との情事や、言葉の端々に見え隠れするミステリアスな魅力は、マタ・ハリを彷彿とさせ、読者を物語の深淵へと引き込みます。
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映画版とは異なる「原作独自の衝撃のラスト」 映画版を観たことがある方にも、ぜひ原作漫画を手に取っていただきたい理由があります。それは、映画版とは異なる結末が用意されているからです。映画版も高い評価を得ていますが、原作では漫画ならではの表現を用いた、さらに一捻りある「衝撃のラスト」が待ち受けています。バブルという狂乱の時代を駆け抜けた男たちが最後に何を見たのか、その目で確かめてください。
全4巻で完結!『僕らはみんな生きている』はこんな人におすすめ
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社会派・ビジネス漫画ファン 『黄昏流星群』や『課長島耕作』のように、組織の中で生きる人間の葛藤や悲哀を描いた作品を好む方に特におすすめです。バブル期の異常なまでの熱量と、それが崩壊していく予兆のような虚無感が、極限のサバイバルを通して鮮烈に描かれています。
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山本直樹作品の愛好家 作者独特の、感情を排したような淡々とした心理描写や、死と隣り合わせの状況で露わになる人間の性に惹かれる方にはたまらない一作です。社会派ドラマという枠組みの中で、山本直樹のエッセンスがいかんなく発揮されています。
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週末の一気読み派 全4巻完結という構成は、週末の休日に一気読みするのに最適です。中だるみすることなく、冒頭のクーデターから衝撃の結末までノンストップで駆け抜けることができます。短いながらも読後に残る強烈な余韻は、長編作品に引けを取りません。