『どん亀サブマリン』とは? 名作『ぶるうピーター』の系譜を継ぐ海洋SFコメディ
『どん亀サブマリン』は、1980年代の『週刊少年チャンピオン』で活躍した小山田いく先生による海洋SFコメディです。
本作の特筆すべき点は、同氏の代表作である青春漫画『ぶるうピーター』の未来世界が描かれていること。2034年の沈没した日本を舞台に、かつての主要キャラクターたちの「孫世代」が活躍する構成は、往年のファンにとって感慨深い設定といえます。全1巻(本編2話+短編集)というコンパクトな構成ながら、小山田作品らしい温かさと科学的知見が詰まった一冊です。
2034年、沈んだ日本が舞台。『どん亀サブマリン』のあらすじ
物語の舞台は2034年。1999年の大震災によって日本列島の大半が海に沈んでしまった世界です。生き残った人々は、海上や海中に建設された巨大都市「プランクトンシティ」で新たな生活を営んでいます。
主人公の中学生・亀波道(かめ なみみち)たちは、夏休みの自由課題でプランクトン採集に出かけますが、深海1万メートルで悪徳科学者の陰謀に遭遇してしまいます。
道たちは最新鋭の潜水艇と、頼れる相棒であるサイボーグウミガメの「小源太」を駆使し、予期せぬ危機に立ち向かいます。かつての冒険者たちの血を引く少年少女たちが繰り広げる、命がけかつユーモアあふれる深海アドベンチャーです。
ファン納得の完成度!『どん亀サブマリン』が面白い3つの理由
- 『ぶるうピーター』の正統な未来編: 本作には『ぶるうピーター』の主要キャラクターたちの孫が4人全員登場します。単なるゲスト出演ではなく、年老いたかつての主人公たちが登場するなど、作品間の時間の流れと血の繋がりが丁寧に描かれています。前作の読者であれば、世代を超えた絆に胸が熱くなるでしょう。
- レトロフューチャーな「未来の日本」: 1980年代当時に描かれた「2034年の日本」という設定が、今読むと独特の味わいを醸し出しています。「ノストラダムスの予言」や「日本沈没」といった当時の世紀末観をベースにしつつも、小山田先生らしい前向きで明るい未来像が提示されており、心地よいノスタルジーを感じさせます。
- 知的好奇心をくすぐるSF設定: 潜水艇のメカニック描写やサイボーグ技術、海洋環境の描写には、小山田いく作品特有の理系的なこだわりが詰まっています。コメディタッチでありながらも、設定の細部には科学的な知的好奇心が反映されており、大人の読者も満足させる密度があります。
読むべきはこんな人! おすすめの読者層
- 『ぶるうピーター』を読了済みの方: 感動の物語の「その後」を、孫たちの活躍を通して見届けられる貴重な作品です。キャラクターたちがどのように年を重ねたのかを確認するだけでも読む価値があります。
- 80年代少年漫画の空気が好きな方: どこか懐かしく、人情味あふれる温かな作風は、当時の『少年チャンピオン』黄金期を知る方にとって心地よい時間となるはずです。
- 短時間で読める良質なSFをお探しの方: 本編に加え、短編『むかしキュービック』なども収録された全1巻完結の作品です。長編映画一本分のような満足感を、手軽に味わうことができます。