『かんしゃく玉のゆううつ』とは?種村有菜の原点が詰まった初期短編集
『神風怪盗ジャンヌ』や『満月をさがして』などで一時代を築いた人気漫画家・種村有菜先生。本作は、そんな彼女の記念すべきデビュー作を含む、初期の傑作を集めた短編集です。忍者ラブコメディから、雨の日の切ない恋物語まで、全1巻の中に4つの珠玉のストーリーが収録されています。90年代の少女漫画界を牽引することになる「種村ワールド」の原石があり、その輝きは今もなお色褪せることはありません。
忍者女子高生・鰍(かじか)の恋と戦い!あらすじと収録作
表題作『かんしゃく玉のゆううつ』の主人公は、伊賀忍者の末裔である女子高生・鰍(かじか)。彼女は憧れの藤崎先輩のために、忍術や武器を封印し、「普通の女の子」としてお淑やかに振る舞おうと日々努力しています。しかし、代々伝わる秘薬や武器を巡る騒動に巻き込まれ、大切なものを守るために封印していた力を解き放つことに……。「女の子らしくありたい」という乙女心と、「忍者の宿命」の狭間で揺れ動く鰍の姿が見どころです。
本書には表題作のほか、種村先生のデビュー作である『2番目の恋のかたち』や、『雨の午後はロマンスのヒロイン』『この恋はNONフィクション』も収録。文通から始まる恋や、雨宿りでの偶然の出会いなど、それぞれ異なるシチュエーションで描かれる少女たちのひたむきな姿は、読み応えがあります。
なぜ『かんしゃく玉のゆううつ』は色褪せない?3つの魅力
- 初期から完成された画力と可愛さ: 初期作品でありながら、画面から溢れ出るような熱量と、細部まで描き込まれた華やかな絵柄は健在です。大きな瞳にサラサラの髪、凝った衣装など、種村作品ならではの「可愛さ」の原点が詰まっており、ページをめくるたびにその世界観に引き込まれます。
- 設定の妙: 「忍者×女子高生」というアクション要素を含んだコミカルな設定と、好きな人の前では可愛くありたいという王道のラブストーリーが見事に融合しています。突飛な設定でも感情移入できるのは、キャラクターの感情が丁寧に描かれているからこそ。エンターテインメントの基本が詰まった一冊です。
- 切ない心理描写: 特に『雨の午後はロマンスのヒロイン』で見られるような、繊細な心理描写も本作の大きな魅力です。雨音に重なるような静かで切ない恋心や、すれ違う想いの描写は、元気で派手な表題作とはまた違った、胸が締め付けられるような読後感を与えてくれます。
90年代『りぼん』世代へ!本作をおすすめしたい人
- 種村有菜ファン: 『ジャンヌ』から入ったファンにとって、著者のルーツを知るための必読書です。「ここから伝説が始まった」という発見と感動が随所に散りばめられています。
- かつてのりぼんっ子: 90年代、毎月発売日を楽しみにしていた『りぼん』のあの熱狂とときめきをもう一度味わいたい方へ。懐かしさと共に、当時とは違う視点での感動が待っています。
- サクッと読了したい派: 長編を読む時間はないけれど、しっかりと物語の世界に浸りたいという方に。全1巻完結で4つの物語が楽しめるため、短時間で高い満足感を得られます。