全3巻で完結!『かの人や月』が描く、騒がしくも愛おしい大家族の日常
『潔く柔く』や『プリンシパル』などで知られる名手・いくえみ綾が描く、総勢7人とペットたちが織りなす「羽上(うえがみ)家」のホームドラマです。全3巻というコンパクトな構成ながら、読後には長編映画を観たような温かい満足感に包まれる、一気読みに最適な名作として評価されています。
あらすじ:「部屋に幽霊が出る」長男の帰還から始まる物語
物語の舞台は、祖父母、両親、そして個性豊かな3人の姉弟が暮らす大所帯の羽上家。ある日、社会人として独立していたはずの長男・顕(けん)が「部屋に幽霊が出る」という突飛な理由で実家に戻ってきたことから、少し騒がしい日常が動き出します。
大学生の長女・ひろの、出戻りの長男・顕、高校生の次女・ほのか。それぞれの世代が抱える不器用な恋の悩みや将来への不安を、家族ならではの距離感で温かく、時に茶化しながら見守る様子が描かれます。平凡な日常に潜む「ちょっとした事件」や「恋の予感」を丁寧に掬い上げた、愛おしい家族の記録です。
『かの人や月』が「浄化される」と話題の3つの理由
- 全3巻とは思えない満足感: 週末にサクッと読めて、読み終わる頃には心が穏やかになる癒やし体験が待っています。「浄化される」と評されるほどの優しい読後感は、全3巻という手軽さからは想像できないほど深く、何度も読み返したくなる魅力に溢れています。
- 「いくえみ男子」の真骨頂: 本作の大きな見どころは、男性キャラクターたちの絶妙な造形です。少し偏屈で掴みどころのない長男・顕と、対照的に素朴で実直な青年・深町。それぞれのキャラクターが見せるふとした表情やギャップは、いくえみ作品ファンならずとも注目です。
- 会話のテンポが心地よい: 食卓での何気ないやり取りや、姉弟間の遠慮のないツッコミなど、家族の会話がとにかくリアル。小気味よいテンポで進む会話劇は、まるで自分もその場にいるかのような没入感を生み出し、思わず自分の家族を思い出して懐かしい気持ちにさせてくれます。
『いくえみ綾』作品が好きな人、心が疲れている人への処方箋
- 日々の生活に疲れ、温かい物語で心を癒やしたい人: 劇的な事件が起きるわけではありませんが、しみじみと心に染み入る優しさがあります。疲れた心に効く、読むサプリメントのような作品です。
- いくえみ綾特有のリアルな心理描写や、会話劇を楽しみたい人: 人の心の機微を捉える定評のある描写力は本作でも健在。登場人物たちの言葉選び一つ一つに唸らされます。
- 長編作品は重たいが、読み応えのある完結済みの漫画を探している人: 「長すぎる漫画は読む気力がないけれど、しっかりとした物語を楽しみたい」という方に、ぴったりのボリュームと質を提供します。