『野望の王国』とは?『美味しんぼ』雁屋哲が描く暴力と狂気の「バロック漫画」
『美味しんぼ』の原作者・雁屋哲と由起賢二がタッグを組んだ、伝説のバイオレンス巨編です。東大卒のエリート青年たちが「暴力による日本制覇」を掲げ、現代のコンプライアンスでは考えられない悪逆非道を尽くす本作は、全27巻で完結済み。その過剰なまでのエネルギーと狂気は、評論家から「バロック漫画」と称され、カルト的な人気を誇る昭和劇画の金字塔です。
東大卒エリートが悪の限りを尽くすあらすじ
東大法学部を首席クラスで卒業した橘征五郎と片岡仁。彼らは官僚や一流企業への就職という約束された未来を蹴り、卒業式の日に「暴力による日本制覇」という巨大な野望を宣言します。
神奈川県最大の暴力団組長の息子である征五郎は、父の死をきっかけに組の実権を掌握。組織を鉄の規律で統率するためには親兄弟の粛清すら辞さない冷徹さを見せます。彼らの前に立ちはだかるのは、ライバルの警察キャリア・柿崎憲や、日本を裏で操る怪物・大神楽了造など、狂気的な「悪」のカリスマたち。警察権力、宗教団体、右翼をも巻き込み、川崎市を焦土に変えるほどの凄絶な抗争が幕を開けます。
なぜこれほど熱狂されるのか?本作が放つ「異様な魅力」
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「バロック漫画」の最高峰 評論家・呉智英氏が命名した通り、本作の特徴はリアリティを超越した過剰な装飾と異様な迫力にあります。劇画ならではの圧倒的なエネルギーは、読む者を恐怖を通り越した感動と笑いの境地へと誘います。
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登場人物全員が「狂気」 東大卒の頭脳を持ちながら暴力に訴える主人公たちはもちろん、権力者や敵対組織、果ては警察署長に至るまで、敵も味方も理性のリミッターが外れています。「日本制覇のために街を破壊し、数千人の死傷者を出す」という、手段と目的が逆転したカオスな展開は本作ならではの味です。
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伝説のパロディ元 相原コージ『サルでも描けるまんが教室』などでパロディされた独特な劇画調やエキセントリックな演出のオリジナルはここにあります。ネットミームとして見たことのあるあのコマや展開の出典を確認する楽しみもあります。
今のマイルドな漫画では満足できない人へ
『孤狼の血』などの実録ヤクザ映画が好きな方や、昭和の熱い劇画エネルギーを摂取したい方に最適な一作です。今のマイルドな漫画では物足りないと感じているなら、このトンデモ展開とシュールなまでの迫力に圧倒されるはずです。
長らく入手困難だったこのカルト的名作も、現在は電子書籍(完全版)で全巻手軽に読むことができます。一度読み始めたら止まらない、暴力と狂気の日本制覇シミュレーション。その結末をぜひ見届けてみてください。