劇画の黄金コンビが放つ復讐劇の金字塔『傷追い人』とは?
『サンクチュアリ』や『男組』で知られる劇画界の巨匠・池上遼一が作画を担当し、漫画原作者の重鎮・小池一夫とタッグを組んだハードボイルド巨編です。単行本全11巻できれいに完結しており、その圧倒的な画力と壮大なストーリー展開から、今なお多くのファンに支持されています。
物語は、将来を嘱望されたアメフトのスター選手が、ある陰謀によりすべてを奪われ、一夜にして「白髪鬼」へと変貌するところから幕を開けます。ブラジルの未開の地からアメリカの社交界まで、世界を股にかけた壮絶な復讐劇は、まさに「劇画史上最も美しい」と評されるにふさわしい一作です。
一夜にして白髪に…『傷追い人』の壮絶なあらすじ
物語の主人公・茨木圭介は、アメリカのプロチーム入りも確実視されるアメフト界のスターでした。しかし、謎の巨大組織「G・P・X」の卑劣な罠により、最愛の恋人と母親を惨殺され、自身も麻薬所持の濡れ衣を着せられて投獄されてしまいます。地獄のような刑務所生活の中で、絶望と怒りから彼のアフロヘアは一夜にして真っ白に変色。人間としての感情を捨て、復讐のみを生きる糧とする「鬼」が誕生したのです。
出所した圭介は、復讐の資金を得るためにブラジルの奥地へ飛びます。「リオ・バラキ」と名乗り、命懸けの金採掘(ガリンペイロ)で巨万の富を得た彼は、伝説の富豪「ジョー・ツルギ」として再びアメリカの地を踏みます。すべてを奪った巨大組織への、血で血を洗うリベンジマッチ。その構図はまさに現代版「モンテ・クリスト伯」であり、読者を一気に非情かつドラマチックな世界へと引き込みます。
なぜ読み継がれるのか?劇画史上「最も美しい」復讐劇の魅力
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圧倒的なカタルシスと「倍返し」 本作最大の魅力は、どん底まで突き落とされた主人公が這い上がり、理不尽な悪に対して徹底的な報復を行う点にあります。投獄され尊厳を踏みにじられた男が、知略と暴力を駆使して巨悪を追い詰めていく展開は、読む者に深いカタルシスを与えてくれます。
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世界規模のスケール感 物語の舞台は、ブラジルの熱帯雨林からニューヨークの煌びやかな社交界、そしてマフィアが暗躍する裏社会まで多岐にわたります。1000億円規模のマネーウォーズやド派手なバイオレンスアクションなど、80年代劇画特有のエネルギーに満ちたスケール感は本作ならではの特徴です。
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池上遼一が描く「美学」 池上遼一の筆による、復讐に燃える主人公・圭介の鬼気迫る肉体美は圧巻です。また、そんな彼を愛し、その身を捧げていくヒロインたちの姿も物語に深みを与えています。儚くも美しい彼女たちの献身と、愛ゆえに修羅の道を往く男の哀愁が、読後に深い余韻を残します。
『サンクチュアリ』ファンも必見!本作はこんな人におすすめ
- 完結した名作を一気読みしたい人 長編劇画の中には未完で終わる作品も少なくありませんが、本作は全11巻できっちりと物語が完結しています。伏線回収と結末の満足度が非常に高く、休日のまとめ読みにも最適です。
- 80年代ハードボイルドに浸りたい人 コンプライアンスを度外視したような過激な描写や、義理と人情、そして復讐に命を燃やす男たちの熱い生き様は、80年代劇画ならではの醍醐味。濃厚なハードボイルドの世界に浸りたい方におすすめです。
- 理不尽な悪を討つ物語が好きな人 巨大な権力や組織に対し、個人の力と覚悟で立ち向かう「下剋上」の物語はいつの時代も心を揺さぶります。強大な敵を知恵と力でねじ伏せていく展開に、胸を熱くしたい方にぜひ読んでいただきたい一冊です。