『機動戦士ガンダム ジオンの再興』とは?ミリタリー描写の金字塔「近藤版」の原点
宇宙世紀0089年、『機動戦士ガンダムΖΖ』と『逆襲のシャア』の狭間の時代を描いた戦記コミックです。近藤和久氏による独自のアレンジが施された、いわゆる「近藤版」の代表作として知られています。
全1巻という短さながら、その徹底的にリアルなメカ描写と硬派なストーリーで、30年以上にわたり多くのファンから支持され続けている一作です。
あらすじ:宇宙世紀0089年、地上に取り残されたジオン軍の「意地の撤退戦」
ネオ・ジオン抗争が終結した宇宙世紀0089年。組織としての力を失い、地上で孤立無援となったジオン残党軍は、窮地に立たされていました。彼らに残された希望は、連邦軍の包囲網を突破し、HLV(重物資輸送艇)によって宇宙(そら)へ帰還することのみ。
圧倒的な物量を誇る連邦軍に対し、旧式のMSを駆使して「意地の撤退戦」に挑む男たち。その中には、伝説のパイロット、フレデリック・F・ブラウンと、彼が駆る幻のニュータイプ専用重MS「ゲイ・ドライ」の姿がありました。敗色濃厚な戦場で、プロフェッショナルたちが魅せる生き様を描いた、哀愁と硝煙の匂いが漂う戦記ドラマです。
なぜ『ジオンの再興』は30年以上愛されるのか?メカファンを唸らせる3つの魅力
唯一無二の「近藤版」デザイン 本作の大きな特徴は、MSを「兵器」として再定義したビジュアルです。足元のスカートの延長、戦車のようなツィンメリット・コーティング、そして迷彩塗装。アニメのスマートなロボットとは一線を画す、戦車や戦闘機を彷彿とさせるリアリティ溢れるデザインは、独自の存在感を放っています。
幻の機体「ゲイ・ドライ」の実装 永野護氏の没デザインを近藤氏がクリンナップし、作品の主役機として昇華させた「ゲー・ドライ(ゲイ・ドライ)」が登場します。その異形ながらも美しいフォルムと、戦場を支配する重厚な存在感は、ガンダムファンにとって必見の完成度です。
ニュータイプ能力に頼り切らない「プロの戦い」 本作に魔法のような奇跡は起きません。描かれるのは、超常的な能力のみに頼った戦いではなく、熟練のパイロットによる高度な戦術、兵器運用、そして部隊連携です。泥臭くも洗練された「プロの軍人たちの仕事」に焦点を当てた硬派な描写が、ミリタリーファンの心を掴んでいます。
『08小隊』や戦車模型ファンに最適!本作をおすすめしたい人
『MS IGLOO』などが好きな方 『第08MS小隊』や『MS IGLOO』のように、最前線の空気感や、量産機・旧式機が知恵と工夫で最新鋭機に立ち向かうシチュエーションに胸が熱くなる方に適しています。
『逆襲のシャア』の背景を知りたい方 シャア・アズナブルが蜂起する直前、地上に残されたジオン軍がどのように動き、戦力を温存したのか。宇宙世紀のミッシングリンクを埋める資料としても楽しめる作品です。
短時間で濃密な体験をしたい方 全1巻できれいに完結しているため、手軽に読むことができます。その一方で、読後感は長編映画を観終わったかのような重厚な満足感が得られます。