TV版とEWを繋ぐミッシングリンク『BATTLEFIELD OF PACIFIST』
『新機動戦記ガンダムW BATTLEFIELD OF PACIFIST』は、講談社より刊行された全1巻完結のコミックスです。本作は、TVシリーズ最終話と、その続編であるOVA『Endless Waltz』の間に存在する「空白の期間」を描いた公式外伝です。
脚本はTVシリーズの構成にも携わった千葉克彦氏が担当しており、単なるスピンオフの枠を超え、物語の整合性を補完する「正史」として扱われています。ガンダムWの世界観、特にマリーメイア事変へと至る経緯を深く理解する上で、欠かすことのできない一冊です。
あらすじ:平和の裏で蠢く無人兵器プラント「ウルカヌス」
A.C.196年。地球圏統一国家の発足により、世界は兵器廃棄を進め、恒久的な平和へと歩み出そうとしていました。しかし、そんな時代の潮流に逆らうように、無人MSプラント「ウルカヌス」を巡る不穏な噂が流れ始めます。
リリーナ・ドーリアンが外交官として平和活動に奔走する一方で、ヒイロ・ユイやデュオ・マックスウェルらガンダムパイロットたちは、その平和を裏から支えるべく独自に諜報活動を行っていました。そこに現れたのは、「完全平和」を掲げながら武力行使も辞さない謎の武装集団「パーフェクト・ピース・ピープル」。
一度は役目を終えたはずのガンダムに、なぜ彼らは再び乗り込まなければならなかったのか。そして、『Endless Waltz』の冒頭で描かれた「ガンダム廃棄」へと至るまでに、少年たちはどのような決断を下したのか。平和への祈りと、戦うことの矛盾に直面するパイロットたちの姿が描かれます。
本作を読むべき理由:五飛の苦悩と「正史」としての重み
脚本家・千葉克彦氏による「正史」の説得力 本作はアニメ本編のスタッフである千葉克彦氏がシナリオを書き下ろしています。キャラクターの台詞回しや行動原理がTVシリーズから違和感なく接続されており、「公式続編」としての重厚感があります。アニメファンであれば、「知りたかったのはこれだ」と納得できる展開が用意されています。
五飛の心情と行動原理の補完 『Endless Waltz』において、なぜ五飛だけがマリーメイア軍に加担し、ヒイロたちと敵対する道を選んだのか。アニメだけでは汲み取りきれなかった彼の苦悩や、彼なりの「正義」の行方が、本作を通じて詳細に描かれます。五飛というキャラクターを深く理解するためには、重要なエピソードがここにあります。
ここでしか見られないオリジナルMS ガンダムWシリーズのコミカライズを数多く手がけるときた洸一氏による、ダイナミックなメカアクションも健在です。本作には、幻の機体「ビルゴ3」や、変形機構を持つ巨大MA「スコーピオ」など、オリジナルMSが登場します。映像作品にはない、漫画ならではの迫力ある戦闘シーンも見どころの一つです。
全1巻で完結・『Endless Waltz』をより深く楽しむために
ガンダムWシリーズ(TV版・EW)を視聴済みの方 TV版のラストからEWの冒頭へ、物語がどう繋がっているのかを知ることで、EWの物語がより味わい深いものになります。シリーズ全体の解像度を高めたい方に最適です。
五飛の行動に疑問を持っていた方 「五飛はなぜあそこで敵に回ったのか?」という長年の疑問に対する答えが描かれています。彼の孤独な戦いの意味を知りたい方には、特に響く内容となっています。
短時間でWの世界観に浸りたい方 全1巻というコンパクトな構成に、重要なエピソードが凝縮されています。長編を読む時間がない方でも、短時間でガンダムWのミッシングリンクを補完できる手軽さが魅力です。