『サイダースファンクラブ』全2巻の評価・見どころ|小坂俊史が描く“売れない”バンドの軌跡
「4コマ界の貴公子」とも称される小坂俊史先生が竹書房で連載していた『サイダースファンクラブ』。本作は全2巻というコンパクトな構成ながら、後のガールズバンドブーム前夜に描かれた、ある意味で早すぎた作品です。
キラキラした青春ストーリーとは一線を画す、シュールで毒のある笑いと、バンド活動の現実。そして意外なほどの読後感の良さが魅力の本作について、その見どころを解説します。
あらすじ:上京3年目、崖っぷちガールズバンド「サイダース」の明日はどっちだ
物語の主役は、上京して3年目を迎えるものの、未だに鳴かず飛ばずのガールズバンド「サイダース」。メンバーは、ポップ志向のギター・やよい、ロック志向のベース・むつき、そしてなぜかオカルト好きのドラム・しわすの3人です。
音楽性の違い以前に、リリースしたCDはオリコン圏外、レギュラーラジオは打ち切り、所属事務所は貧乏で社長は適当…という、まさに八方塞がりの状況。ライバルバンド「バニーズ」や「ウォルナッツ」との格差に悩み、時に方向性を見失いながらも、彼女たちは地道に活動を続けます。解散の二文字が常にチラつく崖っぷちの日常を描いた、シュールな活動記録です。
魅力・感想:『けいおん!』以前に存在した伝説(?)のバンド漫画
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毒と自虐が冴え渡る!小坂俊史節全開のシュールなギャグ 本作の最大の特徴は、小坂俊史先生ならではの「毒」と「シニカルな視点」です。華やかなステージの裏側にある、メンバー間の微妙な温度差や、売れない現状への乾いた笑い。キラキラしていない等身大、いや等身大以下のバンドライフが、独特のテンポで描かれています。
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バンドマンも唸る「売れない」リアリティ 客が全く入らないライブハウス、機材車の移動、ノルマの重圧、そして尽きない「音楽性の違い」による衝突。本作で描かれるエピソードは、バンド活動経験者なら思わず苦笑いしてしまう「あるある」ネタの宝庫です。成功者のサクセスストーリーではなく、地べたを這いつくばるような泥臭いリアリティが、読者の共感を呼びます。
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全2巻で綺麗に完結!読後感最高のストーリー 全2巻と短い作品ですが、その密度は非常に濃密です。打ち切り寸前の低空飛行を続けていたサイダースですが、物語の終盤では予想の斜め上を行く展開が待ち受けています。積み重ねてきた苦労が報われるのか、それとも…? 伏線を回収しつつ迎える大団円のカタルシスは必見。「読んでよかった」と思える爽やかな読後感が約束されています。
本作をおすすめしたい読者層
- 小坂俊史作品のファン 作者特有の、日常を斜めから切り取る視点や、独特の「間」で描かれる会話劇が好きな方にはたまらない一作です。初期作品ならではの勢いも楽しめます。
- バンド活動の経験がある人 夢と現実の狭間で揺れるメンバーたちの姿や、売れない時代の苦労話に、かつての自分を重ねて共感できるはずです。苦い思い出も笑いに変えてくれるでしょう。
- サクッと読める完結作を探している人 全2巻という手軽さで、週末の一気読みに最適です。短いながらも起承転結がしっかりとしており、質の高いストーリー漫画を読んだような満足感が得られます。