原作未完の伝説が漫画版で「完結」。『トリニティ・ブラッド』とは
『トリニティ・ブラッド』は、原作者・吉田直氏の急逝により未完となった伝説的なライトノベルを原作とするゴシック・ファンタジーです。
漫画版は、作画・九条キヨ氏、キャラクター原案・THORES柴本氏の手により、遺された構想とプロットを元に執筆が続けられ、全21巻をもって堂々の「完結」を迎えました。アニメ化もされ、長年多くのファンに愛されてきた壮大なサーガの「真の結末」を見届けることができる貴重な作品です。
あらすじ:吸血鬼を喰らう吸血鬼、罪と罰の物語
舞台は「大災厄(アルマゲドン)」により文明が一度崩壊し、人類と吸血鬼(ヴァンパイア)が激しく対立する遠未来の世界。教皇庁(バチカン)の巡回神父として派遣されたアベル・ナイトロードは、一見するとドジでいつも空腹を訴えている、頼りない「ダメ神父」です。
しかし、彼の正体は人類の敵である吸血鬼の血を吸う吸血鬼「クルースニク」。その背には、かつて犯した罪と罰、そして深淵なる闇を背負っています。
物語は、吸血鬼との共存を望むシスターの少女・エステルとの出会いから動き出します。二人は種族間の憎しみの連鎖や、世界を破滅へと導こうとする秘密結社「薔薇十字騎士団(ローゼンクロイツ・オルデン)」との壮絶な戦いに身を投じていきます。
本作の魅力:「画集」と評される圧倒的画力と原作への敬意
「画集のよう」と評される圧倒的画力 本作最大の特徴は、九条キヨ氏による緻密で美麗な作画です。THORES柴本氏による複雑怪奇かつ優美な衣装デザインを見事に漫画として昇華させており、描き込まれた装飾や背景のクオリティは「毎ページが画集」と称されるほど。ゴシック様式の建築や衣装が織りなす退廃的な世界観に、視覚から圧倒されます。
普段はとぼけた神父、戦闘時は冷酷な殺戮者 主人公アベルのギャップは読者を惹きつけてやみません。普段は「お腹がすきました~」と情けない顔を見せる三枚目ですが、いざ戦闘となれば冷酷無比な「クルースニク」へと変貌します。銀髪をなびかせ、圧倒的な力で敵を蹂躙する姿と、ふとした瞬間に見せる哀愁漂う表情の対比が、彼のキャラクターに深みを与えています。
原作未完の喪失感を埋める、漫画版独自の「完結」 原作小説が未完で絶筆となったことは、多くのファンにとって大きな悲しみでした。しかし漫画版は、原作者が遺したプロットを丁寧に拾い上げ、物語を最後まで描き切っています。長きにわたる旅路の果てにアベルとエステルが何を見つけるのか。その結末を見届けることは、この物語を愛する者にとって特別な意味を持ちます。
こんな人におすすめ:重厚なゴシック・ファンタジーを求めて
- 原作ファン・未完で止まった人: 原作小説を読んでいたものの、未完であることに心を痛めていた方にこそおすすめです。漫画版で描かれる結末を通して、長年の物語への想いに一つの区切りをつけることができます。
- ゴシック・ファンタジー好き: 中世ヨーロッパ風の美しい衣装、宗教的なモチーフ、退廃美といった要素が好きな方にはたまりません。細部まで描き込まれた画面は、眺めているだけでも満足感を得られます。
- 重厚な設定を楽しみたい人: 「バチカン」対「帝国」、そして暗躍する「秘密結社」。人類と吸血鬼の政治的駆け引きや、コードネームを持つ特殊能力者たちのバトルなど、緻密に作り込まれた設定やキーワードに心が躍る方に最適です。