『月は東に日は西に』の魅力と作品情報:伝説の「楽描倶楽部」がここに
『月は東に日は西に』は、1980年代の『LaLa』(白泉社)黄金期を支えた、わかつきめぐみ先生による青春グラフィティの名作です。美術部から派生した架空の部活動「楽描倶楽部(らくがきくらぶ)」を舞台に、何でもないけれど愛おしい日常を描いた本作は、多くの読者の心に残り続けています。
完結から長い時を経た2021年には、35年ぶりとなる描き下ろし短編を含む関連書籍『わかつきめぐみ迷宮探訪』が発売され、往年のファンだけでなく新たな世代からも再び注目を集めました。色褪せないセンスと温かさが同居する、時代を超えて読み継がれる作品です。
※ご注意ください タイトルで検索すると2004年のテレビアニメ情報が表示されることがありますが、これはオーガスト原作の美少女ゲームをアニメ化したものであり、本作とは同名タイトルの全くの別作品です。わかつきめぐみ先生の『月は東に日は西に』はアニメ化されていません(イメージアルバム等は存在します)。
あらすじ:予算ゼロの弱小部活が繰り広げる、シュールで愛おしい放課後
物語の舞台は、とある高校の片隅にある弱小部活「楽描倶楽部」。美術部から分離して誕生したこの部には、生徒会からの部費予算が一切ありません。そのため、彼らは他部活のポスター描きや雑用といった「下請けアルバイト」で活動費を稼ぐという、たくましくも自由な日々を送っています。
新部長となったしっかり者の高橋茗(たかはし めい)を中心に、前髪で目が隠れたミステリアスな馨(カオル)、元気いっぱいな後輩の**茅菜(カヤナ)**など、集まる部員たちは皆個性的。文化祭前夜のドタバタや、幽霊騒動、そしてなぜか部室に入り浸る不思議な犬たち……。
大きな事件やドラマチックな展開があるわけではありません。しかし、学校生活の中で起こる小さな出来事や季節の移ろいを、彼ら独自のテンポで楽しんでいく様子は、読む人に「こんな放課後を過ごしてみたかった」と思わせる魅力に満ちています。日常の中に潜むシュールな笑いと、じんわりとした温かさが同居する連作短編です。
なぜ今も読み継がれるのか?わかつきめぐみ作品の独特な「間」と「米犬」
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憧れの「放課後」がここにある 本作の大きな魅力は、文化系部活動特有の「空気感」の再現度の高さです。放課後の部室のけだるげで心地よい時間、先輩後輩の垣根を超えた独特の連帯感、そして何かに熱中するわけでもなくただ一緒にいることの楽しさ。多くの人が懐かしく思う「理想の青春の1ページ」が、リアリティを持って描かれています。
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わかつきめぐみ流の「言葉のセンス」 登場人物たちが交わす会話には、独特の「間」とシュールなユーモアが漂います。爆笑を誘うギャグというよりも、じわじわと染み入るような面白さがあり、そのセリフ回しは文学的と評されることもあります。日常の些細なズレを切り取るセンスは秀逸で、一度ハマるとクセになる味わいです。
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マスコット的存在「米犬(よねいぬ)」 本作を語る上で外せないのが、言葉を解する(?)不思議な3匹の犬、「米犬」たちです。「コシヒカリ」「ササニシキ」「コシジワセ」と名付けられた彼らは、ただ可愛いだけでなく、部員たちと対等に渡り合うシュールな存在感を放っています。その愛くるしいビジュアルと、時に人間よりも人間らしい振る舞いは、本作の癒やしの象徴です。
完結済みで一気読み!本作はこんな人におすすめ
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80年代の少女漫画の雰囲気が好きな人 手書きの温かみある描線や、当時の空気感をまとった作風は、ノスタルジーに浸りたい方に最適です。派手な演出よりも、内面の機微や日常の愛おしさを大切にする、あの頃の少女漫画の良さが凝縮されています。
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大きな事件は起きないけれど、センスの良い日常系漫画を読みたい人 ハラハラドキドキする展開よりも、読んだ後に心が安らぐような作品を求めている方へ。疲れた心に効く処方箋のように、優しい世界観があなたを包み込みます。
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文化系部活動の独特の連帯感にノスタルジーを感じる人 かつて放課後の部室で時間を潰した経験がある方なら、きっと「楽描倶楽部」の日常に共感できるはずです。全2巻(文庫版・愛蔵版なら全1巻)というコンパクトな構成なので、休日にサクッと一気読みして、心地よい読後感を味わってみてください。