『宇宙鉄人キョーダイン』とは?特撮の原点にして石ノ森章太郎が描く哀愁SF
1976年放送の特撮番組と連動し、石ノ森章太郎自身が筆を執った漫画版です。単なるヒーロー活劇に留まらず、肉体を捨てた兄たちの悲哀と兄弟愛を描くハードなSFドラマとして構築されています。現在は「石ノ森章太郎デジタル大全」により全1巻で配信されており、本編に加えSF短編も同時収録。石ノ森ワールドの深淵を手軽に味わえる一冊です。
あらすじ:ダダ星人に奪われた家族と、遺された「機械の兄」
ロボット工学の権威である父・葉山博士と二人の兄、譲治と竜治が、突如として地球侵略を目論むダダ星人に拉致されてしまいます。ひとり地球に残された末っ子の少年・健治の前に現れたのは、「スカイゼル」「グランゼル」と名乗る2体の機械。彼らは父の手によって、兄たちの記憶と人格を移植された「サイバロイド」だったのです。
「僕たちは君の兄さんなんだ」――そう語りかける機械たちを、健治は当初、兄と認めることができず拒絶します。しかし、無機質なボディになっても変わらぬ家族への愛と、健治を守るために傷つき戦う彼らの姿に、少年の心は次第に揺れ動いていきます。生身の兄はもういない。けれど、兄の心を持った機械と共に歩む、過酷で切ない運命の戦いが幕を開けます。
特撮版とは一味違う?漫画版『宇宙鉄人キョーダイン』が持つ3つの魅力
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石ノ森章太郎ならではの「哀愁」と「人間ドラマ」 明るい作風が多い特撮版に対し、漫画版は石ノ森作品特有の「影」が色濃く反映されています。人間の姿を失い、機械として生きなければならない兄たちの悲哀や葛藤、そしてそれを乗り越えようとする兄弟の絆が描かれており、大人になった今だからこそ心に響く深みがあります。
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レトロフューチャーなメカデザインの美しさ スカイゼル、グランゼルの造形はもちろん、登場するメカニックの描写には石ノ森章太郎のセンスが光ります。緻密でありながらどこか温かみのあるレトロフューチャーなデザインと、ダイナミックなアクションシーンの融合は、昭和特撮ファンやメカ愛好家にとって見逃せないポイントです。
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電子版限定の読み応え 本作の連載期間は短く物語はスピーディーに展開しますが、現在配信中の電子書籍版(デジタル大全)では、その分量を補うボリュームが提供されています。『ノストラダムスの妖星』をはじめとする貴重なSF短編5編が併録されており、石ノ森章太郎の短編作家としての才気も同時に堪能できる構成となっています。
『宇宙鉄人キョーダイン』はこんな人におすすめ
- 昭和特撮・変身ヒーローファン 『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE』でのリメイク客演などでキャラクターを知っている方が、その原点であるシリアスで重厚な世界観に触れるのに最適です。
- 石ノ森SFの哲学的な世界に浸りたい人 「人間とは何か」「正義とは何か」を問いかけるような、少しビターで考えさせられるSF短編が好きな方には、併録作品含めて満足できるラインナップです。
- 短時間で名作を完読したい人 全1巻完結というコンパクトな構成の中に、熱いドラマと感動が凝縮されています。忙しい日常の合間でも、密度の濃い物語を一気に読み切る読書体験を味わえます。