ヒーロー漫画の皮を被った怪奇ホラー?楳図かずお版『ウルトラマン』の衝撃
1966年の特撮放送と同時期に連載された、ホラー漫画の巨匠・楳図かずおによる異色のコミカライズ作品です。全3巻というコンパクトな構成ながら、単なるヒーロー活劇に留まらない「怪奇ホラー」としての側面を色濃く打ち出しており、その異質さと衝撃度から、伝説の作品として今なお語り継がれています。
生理的な恐怖を呼び起こす、楳図版『ウルトラマン』のあらすじ
科学特捜隊のハヤタ隊員は、パトロール中に謎の赤い球体と衝突し命を落としますが、M78星雲から来た宇宙人・ウルトラマンと一心同体となり蘇ります。地球の平和を守るため怪獣たちと戦うという大筋はTV版を踏襲していますが、本作最大の特徴はその「空気感」にあります。
楳図かずおの筆致によって描かれる世界は、常に死と隣り合わせの緊張感に満ちています。特にバルタン星人のエピソードは圧巻で、侵略者としての底知れない不気味さが強調され、多くの読者に生理的な恐怖を植え付けました。爽快なバトルよりも、正体不明の巨大生物と対峙する絶望感が際立つ、独自のウルトラマンワールドが展開されます。
トラウマ級の衝撃!楳図かずお版『ウルトラマン』深掘り3つのポイント
- 楳図ホラー全開!怪獣が「生物」として描かれる生理的恐怖: ドドンゴやバルタン星人といったお馴染みの怪獣たちが、単なる着ぐるみではなく、生々しい質感を持った「生物」として描かれています。その瞳の奥にある不気味さや、生物としてのリアリティは、楳図ホラーならではの生理的な恐怖を読者に突きつけます。
- 映像を観ずに描かれた?資料の行間を埋める独自のリアリズム: 執筆当時、放送前の資料のみを参考に描かれたエピソードも多いと言われており、そのためTV版とは異なる独自の展開や解釈が生まれています。映像作品の再現に留まらない、漫画としての想像力で補完されたリアリズムは、本作だけの唯一無二の魅力です。
- 「Aタイプ」マスクのシワまで再現!執念の作画密度: 初期のウルトラマン特有の、表面が凸凹した「Aタイプ」マスクの質感やシワまでもが、緻密なペンタッチで克明に再現されています。劇画調の濃密な書き込みが、ウルトラマンという存在の異様さと巨大な迫力を画面から放っています。
楳図版『ウルトラマン』をおすすめしたい読者層
- 楳図ホラーの愛好家: 『漂流教室』や『おろち』に通じる、逃げ場のない心理的な圧迫感や、人間の本能的な恐怖を刺激する描写を存分に堪能したい方におすすめです。
- ダークな特撮作品好き: 明るい王道ヒーロー作品とは一線を画す、怪奇映画のようなダークでシリアスな雰囲気が好きな方には、たまらない一作となるでしょう。
- 未読のウルトラマンファン: 私たちが知っている光の巨人とは異なる、「もう一つのウルトラマン」という衝撃的な解釈を体験してみたい方にとって、必読の書です。