『鉄コミュニケイション』とは? 90年代に生まれた心温まるポストアポカリプスSF
『鉄コミュニケイション』(漫画:たくま朋正/原案:かとうひでお)は、1990年代後半にメディアミックス展開されたSF作品です。大戦によって文明が崩壊した後の地球を舞台にしながらも、そこにあるのは殺伐とした争いではなく、残された者たちの「優しさ」や「温かさ」です。
1998年のアニメ化に加え、後に『イリヤの空、UFOの夏』などで知られる秋山瑞人氏による小説版も発表されるなど、多角的な展開でファンを魅了しました。漫画版は全3巻で完結しており、物語のまとまりも良く、休日の読書や一気読みに最適なボリュームです。
『鉄コミュニケイション』のあらすじ:人類最後の少女と5体のロボットが紡ぐ「家族」の物語
かつての大戦により文明が崩壊し、廃墟と化した地球。瓦礫の中で目覚めた少女・ハルカは、5体の作業用ロボットたちに拾われます。
「人類最後の生き残り」かもしれないハルカを守るため、本来は戦闘や作業のために作られたはずのロボットたちは、彼女の「家族」となることを選びます。 食事の世話から教育、そして遊び相手まで。種族も生まれも異なる彼らの奇妙な共同生活は、不器用ながらも温かい愛情に満ちています。ただ生き延びるためのサバイバルではなく、互いに心を通わせ合い、絆を深めていくハートフルなドラマが展開されます。
ここが面白い!『鉄コミュニケイション』が愛され続ける3つの魅力
-
ロボットたちの不器用で深い「人間味」 ハルカを育てる5体のロボットたちは、それぞれ個性豊かです。無骨なボディを持ちながらも、ハルカに向ける眼差し(センサー)はどこまでも慈愛に満ちています。プログラムされた役割を超えて、親のように心配し、兄弟のように喧嘩し、そして何よりもハルカの幸せを願う彼らの姿は、時に人間以上に人間らしく、読む人の心を温かくします。
-
アニメ・小説とは異なる漫画版独自の展開 本作はメディアごとにストーリーや設定、結末が異なるパラレルな展開をとっているのが大きな特徴です。特に小説版はハードなSFとしてSFファンの間で高く評価されていますが、漫画版はたくま朋正氏の柔らかいタッチも相まって、独自の優しいテイストで描かれています。アニメや小説を知っている方でも、また違った『鉄コミュニケイション』の世界を楽しむことができます。
-
廃墟と日常が織りなすノスタルジックな世界観 崩壊したビル群、錆びついた鉄塔、草木に覆われた都市。そんな寂寥感あふれる廃墟の風景の中で、ハルカとロボットたちの穏やかな日常が営まれます。「滅び」のイメージと「生活」の温かさが同居するコントラストは美しく、90年代後半の名作SF特有の、どこか懐かしく切ないノスタルジーを感じさせてくれます。
『鉄コミュニケイション』はこんな人におすすめ
- 『ヨコハマ買い出し紀行』のような、静かで穏やかなポストアポカリプス(終末もの)が好きな人 激しいバトルよりも、終末世界での日常や心の機微を丁寧に描いた作品を好む方に最適です。
- 人間とロボット(非人間)との間に芽生える絆や、種族を超えた家族愛に弱い人 「家族」の形は血の繋がりだけではないことを、彼らの姿が教えてくれます。
- 90年代メディアミックス作品特有の空気感や、隠れた名作SFを発掘したい人 当時の熱量や独特の空気感を味わいたい方にとって、本作は外せない一作です。
書店では入手困難になりがちな過去の名作も、電子書籍ならすぐに全巻揃えて読むことができます。読み終えた後、きっと優しい余韻に包まれることでしょう。